2014/07/01

第19回緩和医療学会学術大会に参加して

第19回緩和医療学会学術大会に参加して

第19回緩和医療学会学術大会に参加して

                                   がん緩和・こころのケア部門   宮崎厚子

第19回緩和医療学会学術大会・セミナー(平成26年6月19日~21日,神戸)に参加した.

日本緩和医療学会は最大規模の学術団体のひとつで,日本における緩和ケアの普及・充実を

牽引してきた.今大会では緩和医療を「痛み」「痛み以外の身体症状・治療」「精神・心理・社会的ケア・倫理的問題」

「チーム医療・緩和ケアデリバリー・概念」「特定集団に対する緩和ケア」「教育・啓発・研究」の6領域に分け,

各領域で合計1,100以上もの演題で講演や発表が行われた(参加者総数83000人).

講演後の質疑応答やデイスカッションも非常に活発で,全ての講演に参加することは無理だったが,

心理社会的苦痛や生きること自体の実存的根源的苦痛への対応について,豊富な事例研究に基づく

現実的具体的な報告やさまざまな医療専門職からの話を聞くことができた. 

今日,多くの病院ではチーム医療が行われている.当事者(患者さんとご家族)を中心に,

医師や看護師,薬剤師,理学療法士,栄養士,ソーシャルワーカー,心理士など,コメディカルとの

よりよい協働が求められている.それらの現場では,言うまでもなく各職種間の協力や関係調整が

非常に大切である.医師,看護師,そして,診療を支える多くの専門職が,お互いの考え方を尊重しあい,

言葉の壁を越えて理解し助け合うための地道な努力や工夫が求められている.

今回の学術大会でも,チーム医療におけるリーダーシップやコーディネート力の大切さについて

深く考えさせられた.

なお,当院の近藤理学療法士によるポスター発表「終末期がん患者に対する早期リハビリテーション介入は

ADL維持に貢献する可能性がある」は,1000件以上というポスターのなかで優秀演題のひとつに選ばれた.