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前立腺がん

前立腺がん

1. はじめに

前立腺癌は、加齢とともに増加する癌で、社会の高齢化とPSA(前立腺特異抗原と呼ばれる前立腺癌の腫瘍マーカー)の普及に伴い、近年では男性のすべての癌の中で最も増加していることが知られています。
近い将来には男性の癌死亡率の2位になると推測されています。
前立腺癌は、早期発見が重要で、早期に発見し適切に治療すれば根治率の高い癌といえます。
日本泌尿器科学会の前立腺癌検診ガイドライン(金原出版)では、米国泌尿器科学会との共同声明として50歳以 上のPSA採血を推奨しています。


前立腺癌発生の危険因子として、加齢、前立腺癌の家族歴、動物性蛋白質、脂肪の過剰摂取が指摘されています。
特に父親が前立腺癌の場合の前立腺癌罹患の頻度は2-3倍上昇し、父親および兄弟に前立腺癌を認めれば、その頻度は約10倍上昇すると言われています。


前立腺癌の治療法には、

1)外科治療(ロボット補助下手術、腹腔鏡下手術、開腹手術)
2)放射線療法(小線源治療、外照射治療、重粒子線治療)
3)ホルモン療法
4)化学療法
5)待機療法

などがあります。
前立腺癌の進行度(病期)や個々の状況、希望に応じて治療法の選択が可能です。
徳島大学病院では、最新技術を含めた多くの治療方法が選択可能です。


前立腺癌の治療法を、日本泌尿器科学会から出された前立腺癌診療ガイドライン(金原出版)に基づいて紹介します。
 

2. 外科治療 

外科治療は転移のない限局性前立腺癌が適応です。
前立腺および精嚢(精液をためるふくろ)を一塊にして摘出し、膀胱と尿道を吻合する根治的前立腺全摘術が標準術式で、一般に転移しやすい閉鎖リンパ節も同時に摘除するため、根治性が高い治療方法です。

徳島大学では平成23年10月からロボット補助下手術が導入され、より精密な手術が可能となりました。
入院期間は10日程度(術後約1週間で退院)で、出血や尿もれも少なく、低侵襲な手術といえます(ロボット手術の項参照)。
 

3. 放射線治療 

放射線療法は照射方法により1)内照射と2)外照射に大きく分けられます。
 


1) 内照射療法(小線源療法)

一般的に小線源治療と呼ばれ、ヨウ素125(I-125)の含まれたチタン製のカプセルを会陰部から挿入された複数の針を通して前立腺に埋め込む方法です。
転移のない限局性前立腺癌が適応で(特にPSAが10ng/ml以下、組織型が高分化型のものが望ましい)、治療成績は外科治療とほぼ同等です。
手術の困難な方、ご高齢の方には特に推奨できる治療法です。
入院期間は3日程度で、出血や痛みが少なく、治療後は速やかに社会復帰できるという利点があります。
当院でも多数の治療実績があります。
 

2) 外照射療法

当院では最新装置による強度変調放射線治療(IMRT:intensity modulated radiation therapy)と呼ばれる、膀胱や直腸など周囲臓器への被爆を抑えた照射方法が施行されており、一般的に39回(計78グレイ)の分割照射が行われます。
1回の治療時間は短時間で、外来通院で治療可能という利点があります。
適応は、転移のない限局性前立腺癌はもとより前立腺周囲へ浸潤した局所進行癌でも治療可能です(当院ではホルモン治療併用)。
また、外科手術後の局所再発にも有用です。
 

4. ホルモン療法

前立腺癌は男性ホルモンを栄養にして増殖するため、男性ホルモンの分泌を抑え、男性ホルモンが前立腺癌細胞に結合しないようにする必要があります。
一般的にはLH-RHアゴニスト(商品名:リュープリン、ゾラデックス)と言われる注射薬で男性ホルモンの分泌を抑え、抗男性ホルモン剤(商品名:カソデックス、オダイン)の内服で男性ホルモンが前立腺癌細胞に結合しないようにします。
特にこれらの注射と内服薬を併用することで、より高い治療効果が得られることが知られています。
適応は、限局性前立腺癌はもとより前立腺周囲へ浸潤したり、骨などの遠隔転移を有する癌にも有効です。
また、外科手術後、放射線治療後の局所再発にも有用です。
今後、LH-RHアンタゴニスト(商品名:ゾナックス)も使用可能になります。
 

5. 化学療法 

ホルモン療法が効かなくなったホルモン耐性の前立腺癌が主な適応です。
一般的にはドセタキセル(商品名:タキソテール)といわれる抗がん剤投与が中心となります。
また、症例に応じて、ストロイド剤や抗がんホルモン剤のエストラサイトと併用して投与しています。
最近、外来通院での化学療法が可能となり、多くの方が外来通院での投与を行っています。
 

6. 待機療法 

前立腺癌は一般的に進行が遅く、癌と診断されても早急に治療せず、定期的な採血によるPSA(前立腺特異抗原と呼ばれる腫瘍マーカー)のチェックで厳重に経過観察することが可能です。
一般的にPSAが低く(10ng/mL未満)、癌の組織型が良く(グリソンスコア―が6以下)、癌が小さい場合に適応になります。
PSAが上昇したり、PSAの倍加速度が速い場合は速やかに適切な治療に移行します。
 

7. 骨転移の治療

骨転移を有する症例に対しては、ビスフォスフォネート(商品名:ゾメタ、ランマーク)を併用します。
さらに、除痛目的で、外照射療法や塩化ストロンチウム(商品名:メタストロン)投与も可能です。

8. 治療法の紹介およびリンク先 

徳島大学泌尿器科:
http://www.tokushima-hosp.jp/info/circulatory.html?rank_code=unit&belong_code=10

米国泌尿器科学会:http://www.auanet.org/content/homepage/homepage.cfm

ヨーロッパ泌尿器科学会:http://www.uroweb.org

がん情報ネットワーク(NCCN):http://www.nccn.org/default.asp
 

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