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口腔がん

口腔がん

口腔がんとは

口腔がんとは口の中およびその周辺組織にできる癌のことで、できる部位によって舌がん、歯肉がん、口底がん、頬粘膜がんなどと呼びます。
口腔がんの発生率は、体にできるがんの1〜3%です。しかし、以前に比べると口腔がんになる人は男女ともに増えてきています。
日本における口腔がんの年齢的な特徴は、年齢別では、70歳代が一番多く29.1%、60歳代26.5%、50歳代が18.1%となり、50歳以上が約80%を占めています(2002年度の統計)。
 

口腔がんの症状

口腔がんは、直接肉眼で観察でき、手指で触診できるのが大きな特徴です。
口腔がんは口の中にできる「がん」です。
発育様式から外向型(出っ張っている)、内向型(掘れ込んでいる;潰瘍形成)に大別できます。
その中でも、一見汚く、触って硬い感じをうけるものは要注意です。
また、白斑(はくはん)も要注意です。
白斑というのは口の中の粘膜が白くなっているものの総称で、単に入れ歯が強くあたって白くなっているものもあれば、癌ではないが癌化する可能性のあるもの、本当の癌であることもあります。
次の項目に、口腔がんを疑うポイントを列挙いたしますので、各自でセルフチェックしてみて下さい。

「口腔がん」を疑うポイント

①口の中に硬い「しこり」がある。
②口の中に出血しやすい場所がある。
③3週間以上治らない口内炎や潰瘍、または抜歯後の傷の治りが悪い。
④口の中に痛みがある。
⑤口の中や唇にしびれがある。
⑥口の中が腫れて、入れ歯が合わなくなった。
⑦口の中に白い部分または赤い部分がある。
⑧口臭があると言われた。
⑨原因不明の歯のぐらつきがある。
⑩首のリンパ節の腫れが3週間以上続いている。

上記のような症状に、「私も?」と思われた方はいませんか?お腹の中のがんは目で見たり、触ったりすることはできませんが、「口腔がん」は目で見たり、触ったりできます。「おかしいな?」と思ったら、かかりつけ歯科医院、耳鼻咽喉科や歯科口腔外科などの専門病院への受診をお勧めします。


口腔がんになりやすいタイプの人

下記の口腔がんチェックで自己評価してみて下さい。
<口腔がんチェックリスト>
  ①1日にタバコを10本以上吸う
  ②タバコは、葉巻やパイプが好き
  ③50歳以上で、飲酒時にタバコも吸っている
  ④飲酒するとすぐに顔が赤くなる
  ⑤強いお酒が好きだ
  ⑥歯を磨かない、入れ歯の掃除をしない
  ⑦頻繁に舌や頬の粘膜を咬む
  ⑧入れ歯や歯の詰め物が当たって痛い
  ⑨偏食がある(ビタミンや鉄分不足)
  ⑩がんになったことがある
「チェックがついた」=「口腔がんになる」というわけではありません。ただし、チェックがついた人は、つかない人に比べて口腔がんになりやすい体質であったり、または口腔がんになりやすい環境にあると考えられます。


口腔がんの種類

病理検査(病気の一部を切り取って顕微鏡を使って詳しく調べる検査)において、いろいろなタイプに分かれます。
(1)扁平上皮癌(口腔がんの80〜90%)
発生する部位により「舌がん」「歯肉がん」「口底がん」「頬粘膜がん」「口蓋がん」「口唇がん」に分かれます。この中で、舌がんが最も多く、約40%を占めます。


①舌がん

隆起したタイプの舌がん
隆起したタイプの舌がん
潰瘍タイプの舌がん。
潰瘍タイプの舌がん。
白いできものができた舌がん。
白いできものができた舌がん。

②歯肉がん

隆起したタイプの歯肉がん。
隆起したタイプの歯肉がん。
潰瘍タイプの歯肉がん。
潰瘍タイプの歯肉がん。
赤くただれた歯肉がん。
赤くただれた歯肉がん。

③口底がん

口底が深くえぐれている。
口底が深くえぐれている。

④頬粘膜がん

左側頬粘膜にざらつき感のあるできものができている。
左側頬粘膜にざらつき感のあるできものができている。

⑤口蓋がん

口蓋に隆起したがんができている。
口蓋に隆起したがんができている。

⑥口唇がん

唇にイボ状のがんがある。
唇にイボ状のがんがある。

(2)悪性黒色腫

メラノサイトに由来する悪性腫瘍で転移しやすい。
メラノサイトに由来する悪性腫瘍で転移しやすい。

(3)唾液腺がん

口腔がんの治療

がんの治療としては、手術・放射線治療・抗癌剤治療があり、これらの治療を適切に組み合わせて行います。
その他、免疫療法、温熱療法、レーザー治療などがあります。
がんの大きさや、患者さんの全身状態により治療法の選択が必要となります。
口腔がんの手術の場合、舌や顎骨・顔面を切除するため、術後、咀嚼障害、嚥下障害・顔貌の変形などの後遺症を残すことがあります。
切除範囲が大きい場合は、人工材料や他部位の皮膚・筋肉などを用いて、欠損部の再建を行います。
再建手術については形成外科・美容外科が担当することもあります。
また、顎骨・歯の欠損に対しては、人工歯根(インプラント)や顎義歯などによる機能回復を行い、QOL(Quality of life;生活の質)の向上につとめています。



口腔がんの鑑別疾患

①(舌)潰瘍

補綴物(入れ歯や歯のかぶせ物)の鋭縁が常に刺激し、舌に潰瘍を形成。
補綴物(入れ歯や歯のかぶせ物)の鋭縁が常に刺激し、舌に潰瘍を形成。

②溝状舌

舌背の表面に多数の溝がみられる状態。通常は自覚症状はない。
舌背の表面に多数の溝がみられる状態。通常は自覚症状はない。

③地図状舌

中央が鮮紅色、周囲が白色の境界明瞭な斑として生じ、地図状を呈する。
中央が鮮紅色、周囲が白色の境界明瞭な斑として生じ、地図状を呈する。

④(舌)線維腫

境界明瞭な半球状の腫瘤。表面粘膜は平滑。
境界明瞭な半球状の腫瘤。表面粘膜は平滑。

⑤(歯肉)乳頭腫

有茎性あるいは広基性の乳頭状の腫瘤。表面粘膜は顆粒状を呈する。
有茎性あるいは広基性の乳頭状の腫瘤。表面粘膜は顆粒状を呈する。

⑥(上顎歯肉)天疱瘡

⑦(頬粘膜)Fordyce顆粒

皮脂腺の迷入により生じる。治療は不要。
皮脂腺の迷入により生じる。治療は不要。

⑧骨隆起

通常は治療の必要はないが、義歯(入れ歯)の装着が困難な場合に切除する。

(1)下顎隆起
(1)下顎隆起
(2)口蓋隆起
(2)口蓋隆起

⑨カンジダ症

グラム陰性真菌であるCandidaによる日和見感染。
白板症との鑑別では白斑が払拭可能であることで判断可能。

⑩扁平苔癬

⑪白板症(前癌病変※)

臨床的ならびに組織学的にほかの疾患に分類されない白班または白板を白板症と定義。擦過
により白班は除去されない。男性に多く、50〜60歳代に好発する。

⑫紅板症(前癌病変※)

臨床的ならびに組織学的にほかの疾患に分類されない紅班を紅板症と定義。男女差はなく、
50〜70歳代に好発する。

 

※前癌病変とは
がんになりやすい病変として、上記の⑪⑫の写真のような「白板症(はくばんしょう)」と「紅板症(こうばんしょう)」があります。「白板症」の場合は5〜20%の人が、「紅板症」の場合は約50%の人が将来「口腔がん」になると言われています。

最後に

口腔がんの大部分は口の表面に発生しますので、他臓器の場合と異なり、直接見て触ることができます。
ということは、注意さえしていれば、早期発見、早期治療が可能です。
例えば「できもの」がある、口の中が白い、口内炎など痛みを伴う病変の治りが悪いなどの自覚症状がある方は、お気軽に歯科口腔外科を受診してみてください。


尚、徳島大学病院 口腔外科の初診日は、毎週月曜日、火曜日、金曜日です。




参考資料


1.「がんどどう付き合うか(口腔がん)」がん研究振興財団
2.「各種がん(舌がん)」国立がんセンター がん情報サービス
3.「舌癌取り扱い指針」日本口腔腫瘍学会
   http://www.jsot.org/t-tumor.pdf
4.「口腔外科疾患診療ガイドライン」日本口腔外科学会
   http://www.jsoms.or.jp/?page_id=755

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