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卵巣がん・子宮がん

卵巣がん・子宮がん

卵巣がん

卵巣癌
1.治療方法
日本婦人科腫瘍学会から卵巣がん治療ガイドライン(金原出版)が出され、治療を標準化する努力がなされています。
また米国NCCN(Nationalcomprehensivecancernetwork)(http://www.nccn.org/)でも標準治療を提示しています。
2.治療
治療は1)手術、2)化学療法、3)放射線を組み合わせて行ないます。卵巣癌が疑われた場合は基本的に手術がなされます。

1)手術療法
卵巣癌に対する基本的な手術は単純子宮全摘術+両側付属器切除術+大網切除術+骨盤  リンパ節廓清+傍大動脈リンパ節(PAN)廓清+虫垂切除術です。このうち虫垂切除については粘液性腺癌を除いて行なわない施設も増えてきました。
早期癌の場合、手術の目的は
1)完全切除して治癒に導く。
2)本当に早期かそうか確認する。
の2つです。肉眼的に早期に見えても実際は進行していることがあるので、手術で摘出したものを顕微鏡で確認する必要がありまます。顕微鏡的に病巣が卵巣に 限局しており、悪性度が高くない場合(Ia期のG1まで)は手術のみで治癒します。しかしそれを超えている場合には抗がん剤を追加することが必要です。
病巣が卵巣を出てお腹の中に広がっている進行癌の場合には、手術で完全にとりきることは不可能なので、手術の目的は腫瘍の量を減らすことになります。残存 する腫瘍の量が少ない程、治癒する可能性が高くなるので、何としても腫瘍をできる限り切除する必要があります。この場合にはリンパ節郭清はあまり意味がな いかもしれません。手術できないこともあり、その場合には抗がん剤を投与後に再度手術を試みることになります。
本手術で最も頻繁にみられる合併症はリンパ節郭清によるもので、骨盤内にリンパ液が貯まる リンパ嚢胞形成や下肢がむくむリンパ浮腫などです。

2)化学療法
卵巣癌は発見された時に進行していることが多 く、また抗がん剤が非常に有効ですので、化学療法は重要な治療法です。これまでの経験から現在はタキサン系とプラチナ系の薬剤の組み合わせが最も効果が高 いとされています。手術後に6回行なうのが一般的です。腫瘍が腹腔全体に広がっている場合には6回の投与の後にタキサン単独を毎月1年間投与すると再発率 が有意に下がることが明らかになっています。

3)放射線療法
卵巣癌の治療は手術と化学療法が主で放射線が用いられることはあまりありません。化学療法が無効な場合に、病巣に対して放射線治療が行なわれることがあります。
3.妊孕性温存
①上皮性卵巣癌の場合
病巣が顕微鏡的に卵巣に限局しており、悪性度が高くない場合は手術のみで治癒することが多く、この場合子宮と健常な卵巣を温存することが可能とされていま す。病巣がこれを超えている場合には抗がん剤の投与が必要で、子宮と卵巣の温存は無理とされていますが、実際は個々の症例で相談して決めています。
②胚細胞性腫瘍の場合
胚細胞腫瘍の場合には
1)未分化胚細胞腫を除けば、ほとんどが片側性、
2)化学療法の導入により良好な治癒率が得られる、
3)Ⅰ期に見えてもほとんどにおいて外科的な根治範囲を超えており、根治手術と保存手術の 治癒率に差がないことから進行度にかかわらず子宮と健常卵巣の温存が可能とされています。

子宮がん

子宮がん
【子宮頸癌】

1.治療方法
進行期分類によって癌の治療法が決定されま す。本邦では子宮頸癌取り扱い規約(金原出版)が発刊されていますが、治療の具体的な内容については触れられていません。頸癌に対する治療ガイドラインは 日本婦人科腫瘍学会が2007年に子宮頸癌治療ガイドライン(金原出版)を発行しています。米国NCCN ( National Comprehensive Cancer Network )の治療ガイドラインは 以下のアドレスでみることができます。(http://www.nccn.org/

治療は手術療法、放射線療法、化学療法を組み合わせて行ないます。病状別の治療方法の選択肢は以下のとおりです。

※軽度・中等度異形成:
1)経過観察
2)レーザー蒸散
3)LEEP切除
4)円錐切除
5)(単純子宮全摘出術)
※高度異形成:
1)レーザー蒸散
2)LEEP切除
3)円錐切除
4)PDT
5)単純子宮全摘出術
※上皮内癌:
1)円錐切除
2)PDT
3)単純子宮全摘出術
4)(LEEP切除)
※Ia1期:
1)円錐切除
2)円錐切除後に単純子宮全摘出術または準広汎子宮全摘術
※Ia2期?Ib1期:
1)広範子宮全摘術、骨盤リンパ節郭清または下腸間膜動脈までの傍大動脈リンパ節廓清を  追加、扁平上皮癌であまり進行していない場合は卵巣温存は可能。
2)放射線治療
※Ib2期?IVa期:
化学療法同時併用放射線治療、術前化学療法後に広範子宮全摘術、両側卵巣切除、骨盤リンパ節郭清
※IVb期:
化学療法を主体に放射線治療を追加


2.手術療法
主に手術療法としてレーザー蒸散、円錐切除術、単純子宮全摘出術、準広汎子宮全摘出術、広汎子宮全摘出術があります。
最近、PDT(光線力学療法)というレーザー治療も行われるようになってきました。
1)レーザー蒸散
レーザー蒸散はレーザー光の熱で病巣を蒸発させる方法で、日帰りで簡単に行なえます。
ただ病巣が蒸発してしまい、診断の確認が出来ないので、慎重に用いる必要があります。
当科では細胞診・コルポスコピー所見、生検の全ての所見が一致し、かつ病巣が可視範囲に ある高度異形成までを対象にしています。
2)PDT(光線力学療法)
PDTは0期(上皮内癌)までの早期癌で、未産婦などで子宮温存を希望されている患者さんに対して行っています。本治療はフォトフリンというがん細胞に蓄積する薬剤を注射し、2日後に子宮頸部に弱いレーザー光を照射するというもので、痛みもなく麻酔も必要ありません。
子宮もそのままの形で温存できるので、これから出産される方に適した方法です。しかし、薬剤によって光線過敏になるため暗室で約3週間の入院が必要で、退院後もしばらくは日光にあたれないといった欠点もあります。
3)LEEP切除
病巣を電気メスで切り取る方法です。簡単にできますが、病巣を一塊として切り取ることは出来ず、ばらばらに切り取りますので、診断精度が円錐切除にくらべて少し劣ります。
症例を選んで行なう必要があります。
4)円錐切除術
円錐切除術は病巣のある子宮頸部を経膣的に円錐状に切り取る手術です。手術は腰椎麻酔下に30分程度で終わります。摘出したもので診断を確認できるので安 全な方法ですが、子宮の下部が欠損するので、これから出産される方には少しハンデになります。また稀に術後に子宮口が狭くなり月経血が出にくくなるという 後遺症があります。
0期までは円錐切除術で治療可能です。Ia1期で脈管侵襲、癒合浸潤がなく、マージンが充分ある場合は治療可能と思いますが、Ia1期を円錐切除で治療す るのは広く一般的に認められている治療ではありません。また円錐切除は浸潤癌かどうか分からない場合に検査として行なわれることもあります。
5)単純子宮全摘出術
0期(上皮内癌)まで治療可能です。Ia1期も治療可能ですが、Ia1期の診断は円錐切除によってなされなければならないので、円錐切除後に単純子宮全摘出術を行なうことになります。
いわゆる子宮筋腫で子宮を摘出するのとほぼ同じ方法で、後遺症はありません。
6)準広汎子宮全摘出術
Ia1期の手術方法として開発されました。本手術は子宮と一緒に子宮の周りの靭帯を少し切り取る手術で、膣を充分切除することができます。特に後遺症はありません。
Ia1期に対しては単純子宮全摘出術でも準広汎子宮全摘術でも治療可能です。
7)広汎子宮全摘出術
Ⅰb1期(子宮頸部にのみ限局する4cmより小さい浸潤癌)が主な対象になります。
本手術では、子宮とその周囲の靭帯および膣の一部を摘出します。
子宮頸癌ではリンパ節転移が起こりうるため、骨盤内のリンパ節郭清を同時に行います。
リンパ節転移の可能性が高い場合にはより上位の傍大動脈リンパ節を廓清することがあります。扁平上皮癌の場合は、卵巣摘出は必ずしも必要としませんが、腺癌や進行した例では卵巣も摘出します。
病巣が大きく(4cm以上)、本手術で完全摘出が困難な場合には、術前に抗癌剤による治療を行ってから手術をすることもあります(術前化学療法)。
本手術で最も頻繁にみられる合併症は排尿障害で、術後訓練が必要です。
他に骨盤内にリンパ液が貯まるリンパ嚢胞形成や下肢がむくむリンパ浮腫などがあります。
Ib2期(子宮頸部にのみ限局する4cmより大きい浸潤癌)やII期(子宮頸部から外に進展している)場合には1)術前化学療法後に手術する方法と2)化学療法同時併用放射線治療のいずれが優れているか結論が出ていませんが、現在のところは後者が優勢です。

3.放射線療法(化学療法同時併用)
子宮頸癌に対する放射線療法は、ほぼ確立された治療法で、手術療法に匹敵する治療成績が得られています。
米国では、比較的早期のものは手術、ある程度進行したものは放射線で治療されています。
近年抗がん剤と放射線治療を同時に行なうと有意に治療成績が向上することが世界的に認められています。
従って初期の場合は放射線治療単独、ある程度進行した場合は化学療法同時併用放射線治療で治療します。


4. 妊孕性温存
若い婦人の場合には子供を産む能力(妊孕性)を温存する必要があります。
Ia期までであれば円錐切除やPDTで子宮、卵巣を温存することは可能です。
Ib期に対しては子宮体部を残して手術する方法(トラキレクトミー)がありますが、これは研究段階の治療法です。
また子宮の温存は無理でも卵巣を残すことが出来れば代理母で子供を得ることは可能ですが、代理母は本邦では未だ認めれていません。
【 子宮体癌 】

1.治療方法
日本婦人科腫瘍学会から子宮体癌治療ガイドラ イン(金原出版)が出され、治療を標準化する努力がなされています。米国NCCN ( National Comprehensive Cancer Network )の治療ガイドラインは以下のアドレスでみることができます。
http://www.nccn.org/
子宮体癌の治療法には、1)手術療法、2)放射線療法、3)化学療法、4)ホルモン療法 がありますが、手術療法が第一選択です。


2.手術療法
準広汎子宮全摘出術または単純子宮全摘出術に両側卵巣摘出と骨盤内と傍大動脈リンパ節郭清を行うのが基本です。ただ傍大動脈リンパ節廓清を全例に行なっている施設は少数で多くの施設ではある程度進行した症例や悪性度の高い場合に行なっています。
Ⅰa期(癌が子宮内膜に限局)のように早期で、悪性度の低い癌の場合にはリンパ節郭清を省略できることもあります。逆にⅡ期(癌が子宮頸部にも及ぶ)やⅢ期(癌が子宮外に広がる)などのように進行している場合には、広汎子宮全摘出術が必要となります。

3.放射線療法
子宮体癌は手術療法が第一選択ですので、放射線療法の適応となるのは、手術が困難と思われる進行癌の場合、重症な合併症および高齢などのため手術が出来ない場合に行なわれます。
術後の追加治療として行うこともありますが、術後治療として1)放射線と2)化学療法のいずれが優れているかは結論が出ていませんが、現在は2)が優勢です。


4.化学療法
子宮体癌の化学療法は通常手術や放射線療法と併用して行われますが、手術が不可能な進行癌や、放射線療法が行えないような再発癌では第一選択となります。
また手術の結果、追加治療が必要と判断された場合には術後に化学療法を行うことがあります。


5.ホルモン療法
子宮体癌には高用量の黄体ホルモン(酢酸メドロキシプロゲステロン)が有効な場合があり、 再発癌に対して用いられます。
術後の再発予防の効果は明らかでありません。
また未産婦で子宮温存を強く希望される患者さんは、Ⅰa期のように早期で、癌の悪性度の低い場合に限り、ホルモン療法を選択することができます。
しかし、ホルモン療法により病気が改善されているかどうか厳重に経過をみることが必要です。本治療の副作用として血栓症があるので血液の状態を検査しながら行ないます。

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