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小児がん

小児がんの治療について

標準治療

標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療をいいます。一方、推奨される治療という意味ではなく、一般的に広く行われている治療という意味で「標準治療」という言葉が使われることもあります。どちらの意味で使われているか注意する必要があります。なお、医療において、「最先端の治療」が最も優れているとは限りません。最先端の治療は、開発中の試験的な治療として、その効果や副作用などを調べる臨床試験で評価され、それまでの標準治療より優れていることが証明され推奨されれば、その治療が新たな「標準治療」となります。[出典:国立がんセンターがん対策情報センター]
血液や悪性腫瘍の患者さんに対しては、国内や海外からの報告(論文)を検索し、有効性や安全性など色々な点を加味して、現時点で一番良いと考えられる治療を提供するようにしています。
それは、根拠に基づいた医療(EBM:evidence-based medicine)と言い、「良心的に、明確に、分別を持って、最新最良の医学知見を用いる」医療のあり方を指します。エビデンス(臨床結果)に基づく医療とも言います。

臨床試験

現在標準的に行われている治療よりも、より良い治療法を確立することを目的として、患者さんに協力していただき、新しく考案された治療法や新しい薬が病気に対して有効かどうか、また安全かどうかについて調べる試験のこと。臨床試験の中で、厚生労働省より新しい薬としての承認を得ることを目的として、まだ承認されていない薬を用いて実施する試験のことを治験と言います。[出典:国立がんセンターがん対策情報センター]
臨床試験に参加することは、最新の治療が受けられることになりますが、本当に安全で有効かどうかは、その臨床試験が終わってみないとわかりません。血液悪性腫瘍の患者さんに対して、徳島大学病院小児科が参加している臨床試験(研究グループ)を以下に示します(2017年5月現在)。

白血病などの血液悪性腫瘍については、日本小児白血病リンパ腫研究グループの計画した各種臨床試験が進行中であり、徳島大学病院小児科も参加しています。

日本小児白血病リンパ腫研究グループ
JPLSG(Japanese Pediatric Leukemia/Lymphoma Study Group)

 日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)における小児血液腫瘍性疾患を対象とした前方視的研究(JPLSG-CHM-14)
 ALCL(Anaplastic Large Cell Lymphoma)(ALCL99)
 小児リンパ芽球型リンパ腫stage Ⅰ/Ⅱに対する多施設共同後期Ⅱ相臨床試験(LLB-NHL03)
 一過性骨髄異常増殖症(TAM)に対する多施設共同観察研究(TAM-10)
 乳児期発症の急性リンパ性白血病に対するリスク層別化治療の有効性に関する多施設共同第Ⅱ相臨床試験(MLL-10)
 若年性骨髄単球性白血病(JMML)に対する静注用Bu + Flu + L-PAM前処置法による同種造血幹細胞移植第II相臨床試験(JMML-11)
 小児B前駆細胞性急性リンパ性白血病に対する多施設共同第II相および第III相臨床試験(ALL-B12)
 小児および若年成人におけるT細胞性急性リンパ性白血病に対する多施設共同第II相臨床試験(ALL-T11)
 小児B前駆細胞性急性リンパ性白血病に対する多施設共同第II相および第III相臨床試験(ALL-B12)
 小児ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)に対するリスク別臨床研究(LCH-12)
 小児急性骨髄性白血病を対象とした初回寛解導入療法におけるシタラビン投与法についてランダム化比較検討、および寛解導入後早期の微小残存病変の意義を検討する多施設共同シームレス第II-III相臨床試験(AML-12)
 標準的化学療法を行った進行期小児リンパ芽球性リンパ種の予後因子探索を主目的とした多施設共同臨床試験(ALB-NHL-14)
 再発および寛解導入不能小児ALLに対する前方視的観察研究および再発および寛解導入不能小児ALL試料を用いた基礎研究(ALL-R14)
 小児急性前骨髄球性白血病に対する多施設共同第II相臨床試験(AML-P13)
 小児フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)に対するチロシンキナーゼ阻害剤併用化学療法の第II相臨床試験(ALL-Ph13)
 小児高リスク成熟B細胞性腫瘍に対するリツキシマブ追加LMB化学療法の安全性と有効性の評価を目的とした多施設共同臨床試験(B-NHL-14)


固形がんについては疾患毎に治療研究グループがあり、徳島大学病院小児科も参加しています。国内外からの報告(論文)を検索し、有効性や安全性など色々な点を加味して、現時点で一番良いと考えられる治療(標準治療)を提供するようにしています。

 ユーイング肉腫:日本ユーイング肉腫研究グループ
JESS(Japan Ewing Sarcoma Study Group)
 横紋筋肉腫:日本横紋筋肉腫研究グループ
JRSG(Japan Rhabdomyosarcoma Study Group)
 神経芽腫:日本神経芽腫研究グループ
JNBSG(Japan Neuroblastoma Study Group)
 肝芽腫:日本小児肝癌スタディグループ
JPLT(Jananese Study Group for Pediatric Liver Tumor)
 ウイルムス腫瘍:日本ウィルムス腫瘍スタディグループ
JWiTS(Jananese Wilms Tumor Study Group)
 脳腫瘍:日本小児脳腫瘍コンソーシアム
JPBTC(Japanese Pediatric Brain Tumor Consortium)

日本小児がん研究グループ
(The Japan Children’s Cancer Group, JCCG)
JCCGは 2014年12月にNPO法人として設立された小児がん研究グループで、JPLSGや各種固形腫瘍治療研究グループを一体化したものです。JCCGには小児がん治療・研究を専門とする100以上の大学病院、小児病院、総合病院(小児血液・がん専門研修施設)が参加し、幅広い領域の専門家が結集し、小児がんの最先端で最良の治療成果を日本や世界各国の子ども達に届けることを使命と考える、all Japanに立脚する唯一の組織です。徳島大学病院小児科も参加しています。

標準治療と臨床試験

標準治療は、有効性(例えば5年生存率が60%)や安全性(例えば副作用が10%)が確立されています。臨床試験は、さらなる有効性の向上(例えば5年生存 率が80%)や安全性の向上(例えば副作用が5%)を目指したものですが、結果は臨床試験が終わらないと分かりません。臨床試験のある疾患は、臨床試験と標準治療のいずれかからの選択となります。臨床試験の終了した疾患は、今後新しい臨床試験が開始される予定です。臨床試験のない疾患は標準治療を行いますが、今後、臨床試験が始まる疾患もあると思います。

集学的治療

脳神経外科や小児外科、整形外科、眼科、放射線科の協力が得やすく、積極的に集学的治療を行っています。集学的治療とは、1つの治療法だけでは治療効果が上がらないと判断されたとき、他の治療方法を組み合わせて治療成績を向上させようとする治療法をいいますが、各分野の専門家が協力して治療に当たることが重要です。たとえば手術を担当する外科医、放射線治療を担当する放射線科医、化学療法を担当する小児科医などが協力してその患者に最もふさわしい治療を行うのも集学的治療と言います。

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植も積極的に施行しています。固形腫瘍の進行例や再発例に対しては、自家末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法を施行しています。また、難治 性の血液疾患(早期再発の急性白血病、重症再生不良性貧血など)に対しては、同種造血幹細胞移植を施行しています。日本造血細胞移植学会(JSHCT)による非血縁者間造血幹細胞移植を施行する診療科の認定を受けており、血縁者間移植(兄弟や両親からの移植)のみならず、骨髄バンクや臍帯血バンクからの移植も行っています。

入院治療

治療の詳細については、開始前に説明し、患者さん毎に個別に作成した「治療計画書」をお渡しするようにしています。小児がんに限らず、抗がん剤を使用する化学療法を中心としたがん治療は、副作用の予防や合併症への対応などの支持療法が非常に大切です。感染症対策として、子供さんの面会を原則禁止としています。兄弟姉妹も原則として禁止しています。
西病棟10階は細胞治療センターと称し、血液内科との混合病棟で、各種化学療法や造血幹細胞移植の患者さんが入院しています。フロアー全体が無菌で、全室個室です。西病棟3階は小児医療センターと称し、小児科のみならず、小児外科など小児の患者さんだけの病棟で、プレイルームなどの設備が充実しています。 化学療法用に簡易無菌の総室を設置しています。入院期間が長くなると、勉強の遅れを心配されるご家族もありますが、入院中も勉強できる環境(院内学級)を整えています。

外来治療

血液外来は、木曜日と金曜日です。急性リンパ性白血病の維持療法、各種悪性疾患の治療終了後の経過観察などを行っています。治療や原疾患による合併症などがあれば、小児神経、小児内分泌、小児循環器、小児腎臓、小児アレルギーなどの専門医に紹介し、並行してフォローするようにしています。また、小児歯科、耳鼻科(難聴外来)、精神神経科 (小児専門心理士)、産婦人科(不妊)などの各種専門家の協力も得て、きめ細かいフォローアップを行っています。

AYA(Adolescence and Young Adult)世代
最近は、AYA世代と呼ばれる、15歳から29歳にかけての思春期や若者のがんに、積極的な取り組みを求める声が高まっています。この世代の脳腫瘍や骨軟部腫瘍の患者さんは、強力な化学療法を必要とすることが多く、当院では以前より小児科で治療しています。また、この世代のがんは、白血病、悪性リンパ腫、脳腫瘍を除くと肉腫がほとんどですが、肉腫の発生部位が様々であることから多岐にわたる診療科で治療が行われています。そのため、専門的な施設で診療されないことも多く、がん難民になることも少なくありません。この世代にも適切な治療が提供出来るように、小児科が中心となって、他の診療科と協力し、積極的に取り組んでいます

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